症例紹介
永久歯が生えそろってからの矯正治療
永久歯が生え揃い、顎の骨の成長も落ち着いてきた時期には、2期治療と呼ばれる矯正治療を行います。2期治療では、主にマルチブラケット装置を使って、歯並びを細かく整え、美しい歯並びと噛み合わせを作っていきます。
マルチブラケット装置は、歯の表面にブラケットと呼ばれる小さな装置を装着し、ワイヤーでつなぐことで歯を動かしていく矯正装置です。ブラケットは医療用のステンレスで作られており、ワイヤーも金属製のため目立ちますが、耐久性が高く、欠けたり壊れたりすることはほとんどありません。
2期治療で得られるメリット
・歯並びを美しく整え、自信あふれる笑顔に
・噛み合わせを改善し、健康的な咀嚼機能を育む
・歯周病や虫歯のリスクを軽減
マルチブラケット装置は、歯を動かすための力がかかるため、装着した数日は歯が痛くなったり違和感を感じたりすることもありますが、徐々に慣れてきます。痛みや違和感がある場合は、お気軽にご相談ください。
2期治療の流れ
1.カウンセリング・初診相談
はじめに、お子さんの歯並びや噛み合わせに関するお悩みをお聞かせください。小児矯正に関する疑問や質問にも一つひとつ丁寧にお答えします。カウンセリングを受けたからと言って治療を強制することはありませんのでご安心ください。
2.精密検査
お子さんのお口や骨格の状態を正確に把握するために、以下の検査を実施します。
・口腔内写真撮影
・歯型取り
・レントゲン撮影
・頭部X線撮影(セファログラム)
・CT撮影
3.治療計画の立案・説明
検査結果をもとに診断を下し、治療計画を立案します。この時点でお子さんに必要となる治療や費用、治療期間などをお伝えできます。治療計画に不安や疑問があれば、何でもお尋ねください。
4.矯正治療のスタート
お子さんの発育・成長の状態を見ながら、最適なタイミングを見極めて矯正治療をスタートします。矯正治療が始まったら、1ヵ月に1回くらいの頻度で通院していただき、装置の調整等を行います。
5.保定期間
矯正治療が完了したら、保定期間へと移行します。リテーナーと呼ばれる取り外し式の装置を一定期間装着していただくことで、後戻りを防止できます。
6.メンテナンス
保定が完了した後も定期的にメンテナンスを受けることで、お口の健康を維持しやすくなります。
2期治療の期間と通院頻度
2期治療の期間は、1期治療を受けているかどうかやお子さんの歯並び・骨格の状態によって大きく変わります。一般的には歯を動かすのに1年半から2年半くらいを要し、その後は同等の期間を保定に当てます。歯を動かす期間中は、1ヵ月に1回のペースで来院いただき、装置の調整や経過の観察を行います。保定に移行したら、はじめの頃は3ヵ月に1回、その後は6ヵ月に1回くらいの頻度で受診いただきます。
2期治療の注意点について
小児矯正の2期治療では、次に挙げる4つの点に注意が必要です。
【注意点1】少なからず痛みを伴います
矯正治療に伴う痛みには、歯を動かすことで生じる痛みや、装置が粘膜に当たって傷つけることで生じる痛みがあります。歯を動かす際の痛みは、装置をつけた直後や調整後に強く感じることが多いですが、時間とともに徐々に軽減されていきます。治療が進むにつれて痛みの程度も和らいでいくことが一般的です。痛みや違和感が生じることは正常な反応であり、特に問題があるわけではありません。当院では可能な限り痛みを軽減する治療を心がけていますが、万が一痛みが強い場合には鎮痛剤を処方いたしますのでご安心ください。
【注意点2】虫歯のリスクが高まります
矯正装置をつけることで歯磨きが難しくなり、虫歯のリスクが高まります。そのため、普段よりも丁寧に歯磨きを行うことが重要です。当院では、ブラッシング指導を通じて正しい歯磨き方法を身につけていただき、虫歯の予防をサポートしています。
【注意点3】後戻りのリスクがあります
歯を動かす治療が完了した後は、取り外し可能な保定装置を使用して歯並びを安定させる「保定期間」に入ります。矯正治療は、歯を動かす治療だけでなく、歯並びを安定させる保定を含めて完了するものです。歯科医師の指示通りに保定装置を装着しないと、十分な効果が得られないため、注意が必要です。適切な保定期間を過ごすことで、長期的に安定した噛み合わせを維持することができます。
【注意点4】抜歯が必要になる場合があります
歯を並べるスペースが十分でない場合、抜歯が必要になることがあります。健康な歯を抜くことに抵抗があるかもしれませんが、無理に歯を並べると口元が出てしまうなどの悪影響が懸念されます。当院では、できる限り抜歯を避ける方針を取っていますが、場合によっては抜歯が最適な選択となることもあります。親御さんと十分に相談の上、お子さんに最適な治療方法を提案いたします。