患者様は50代女性
右側を随分前に虫歯で抜歯されており、入れ歯を使用しておられました。
長年、右の入れ歯側で噛むと痛いし噛みきれないストレスを感じ、左側を中心に食べ物を噛んでいたところ、左側が噛む負担により全体的に痛くなってきたとのことで当院にご来院されました。

数年前に抜いた右上奥歯の骨は安定しています。


左側の写真を見てわかるよう、右下の奥歯2本は長年噛み合う相手がいないことで少しずつ上にのびてきています。
入れ歯の噛む力はご自身の歯が噛む力の20%ほどしか発揮されないことがわかっています。
入れ歯で噛み切れている気がしなかったり、噛めていると感じている方でも無意識に食形態が柔らかいものに移行されていて、残っている歯に大きな負担がかかっていることがほとんどです。
患者様は長年の入れ歯のストレスから解放されたい思いが強く、デンタルローンを組んでのインプラント治療を希望されました。

右上567の欠損であれば、右上57のみにインプラントを埋入しブリッジタイプにすることも可能です。
ただ今回の場合は患者様が食いしばりがきついこと、骨質がやや柔らかかったことから、567部に3本のインプラントを埋入し、強固な咬合に耐えうるよう計画しました。
今回CT計画で右上6部の骨の高さがかなり少ないことがわかりました。

人間誰しも上の奥歯の骨の上方には上顎洞という副鼻腔の仲間の1つが存在します。蓄膿症で膿が溜まりやすい場所です。
今回の設計では8mmの長さのインプラントを使用しますが、5mmほど骨の高さが足りないことがわかり、骨造成の1つであるソケットリフト法を用いる必要がありました。

ソケットリフトはオステオトームと呼ばれる特殊な器具で上顎洞の底の粘膜のみを挙上し、挙上したスペースに骨補填材料を充填してインプラントを埋めるやや繊細な方法です。
この手技のリスクはある程度の熟練した技術がないと上顎洞粘膜を破ってしまうことです。
破れても粘膜は再生しますが、手術は一度そこで終了し、数ヶ月後に再手術となってしまいます。
また、経験が浅いと破ったことに気づかないこともあり、そのまま骨補填材を埋めてインプラントを入れると、術後に上顎洞炎を発症し、インプラントを撤去しなければならない場合もあります。
一番手間がかかるのは、破れた上顎洞粘膜を突き抜けて、上顎洞内にインプラントが迷入する偶発症も存在します。
怖いことを続けに書きましたが、院長の田村は2026年10月現在こういった偶発症を起こしたことはございませんのでご安心ください。
現在当院ではこういった偶発症のリスクをできる限り避けるため、ソケットリフトを用いる場合にDensah Bur(デンサーバー)という特殊な機器を用いております。


上顎臼歯部において、デンサーバーを逆回転で使用することにより、自家骨が骨内の側方および先端方向に運ばれ、骨補填材などをほとんど使用せず、自家骨のみで上顎同粘膜を挙上することが可能になりました。


逆回転により形成された埋入窩は骨密度が改善され、骨とインプラントの接触面積が増加し、より高い初期固定が得られます。



並行性をしっかり確認し、問題なく埋入1次手術を終えました。
デンサバーを用いたことで、手術時間は45分ほどで終えることができました。
術前は極限まで痛みを感じづらい無痛麻酔を実施し、術中は完全無痛状態で治療を行います。
術後は麻酔が切れる前に予防的に鎮痛剤を服用していただき、痛みはほとんどなかったので術後以外は服用する必要がなかったと患者様よりお伝えがありました。
院長の田村が手術時に心掛けていることとして、
1. 極限まで不快を感じさせない無痛麻酔
2. 不必要に術野を広げないよう最小限の切開
最小限の切開で実施することにより、術後の痛みと腫れも可能な限り少なくします。
3. 常に術中の声掛けを行い安心していただく
を実践しております。
当院の口コミをご覧になってもわかるよう、院長の麻酔の不快感の少なさはたくさんの患者様より評価をいただいております。
インプラント1次手術(埋入手術)の後、上顎インプラントの場合は6ヶ月待機します。
(骨の柔らかさの関係で、通常下顎は2ヶ月・上顎は6ヶ月の待機期間がエビデンスレベルの高い論文で推奨されています)
6ヶ月待機後、インプラント被せ(上部構造)の型取りを行い、後日最終被せ物を装着しました。





最終被せ物から1年経過した2026年10月現在は、予防治療検診で継続的にご来院くださっております。
治療詳細
| 治療内容 | 右上567 インプラント治療 右上6のみソケットリフト法あり |
| 治療期間 | 初診時より約9ヶ月後に最終補綴終了 |
| 費用 | 総額 1,488,300 円(税込) |
| リスク・副作用 | 術後の痛み・腫れ・上顎洞炎、インプラント周囲炎 |
院長 田村 淳Jun Tamura
たむら歯科 矯正歯科 院長 / 日本口腔インプラント学会 会員
- 2017年 大阪大学 歯学部 卒業
- 宇治徳洲会病院 歯科口腔外科 / 奄美大島 離島医療プログラム
- 2019年 たけち歯科クリニック 勤務
- 2024年 たむら歯科 矯正歯科 開院

